家が建つ予定の土地は、
私の母方の祖父母の家がある土地です。
2人とも既に他界し、空き家ですが、まだ家屋が残っています。
おばあちゃんにもらったお菓子を弟と分けっこして食べたり、
応接間を探検して大きくて重いガラスの灰皿を落としたり、
二間続きの和室をゴロゴロ転がって遊んだり、
電気ストーブでやけどしておばあちゃんをオロオロさせたり。
おじいちゃんとおばあちゃんの家は、私の心の中ではこんな家です。
この家を解体して、私たちは新しい家を建てます。
この土地は、お隣に建物もなく、田畑に囲まれています。
両親の住む家から徒歩5分かからないという立地ですし、
犬の散歩コースでもあります。
父はこの土地に隣接する畑に毎日のように通い、
いろいろな野菜を作っています。
庭を隔てた南側に大きな池があり、池のずっと向こうの竹林まで景色が見渡せます。
竹林のそばには、お寺に続く石段が顔を覗かせています。
昇る陽も、沈む陽も、
四季はもちろん、
1日のうちでも様々な顔を楽しめるところが昔から好きでした。
いちばんのお気に入りは、池の水面です。
反射して眩しく光る太陽の光、
水を打つ雨の輪、
風が起こす小さなさざ波の模様、
カエルが跳びこんだ時のトプンという音の広がり、
カメが潜っていった後に浮かぶ空気の玉、
ずっと見ていても飽きないんです。
自分の家ももちろん大好きですが、
家を建てるなら、いつかあんな場所に住みたいな、
と漠然と思っていたのがこの場所でした。
でも、いいことばかりでもありません。
家の敷地の東側が畑なのですが、
この部分の池に面した擁壁が少しずつ崩れてきているのです。
池との境目にある樹木の根が月日とともに大きく張り出し、
コンクリートの擁壁をちょっとずつちょっとずつ壊してしまったのでしょう。
この土地は畑とつながって東西に横長く、
崩れかけているのは東側にある畑に接する擁壁ですので、
宅地には影響がありません。
西側の宅地部分と池との境目には石垣が組まれていて、
その石垣をコーティングするかのように壁が作られています。
強度にも問題はなく、
土地の調査の際にも「ここは大丈夫」とお墨付きを頂いたほどです。
ただ、どうせ建物を解体するのですから、
土地を造成する際に擁壁も直してもらった方が、
畑や庭としての使い道にも幅が出るのではないか、
という思いがありました。
→→→ つづく